2010年11月30日火曜日

そば屋








先日、昼前に近所の立ち食いそば屋へ行こうと、歩いていたら、いきなりお尻を後ろから何かで突かれた。
飛び跳ねて、その勢いで半回転すると、そこには、杖を持った八十歳すぎのお婆さんが立っていた。
「どうして、杖でお尻をつくんですか?」と聞くと、
「そんなことより、家がわからかなくなったので、探して欲しい」と言うのだ。
「じゃあひとまず、お巡りさんに聞いてみましょう」ということになり、そばと出汁をおあずけにして交番へ。
交番が近づくとお婆さんが、
「どうして、こっちに向かってるんだい?家は反対方向よ」
と言うので、
「家がわかったんですか」と聞くと、
「もちろん」と答えた。
「それじゃあ、僕はこれで」と、そば屋へ戻ろうとすると、
「花より団子か」と僕の手を引っ張った。
仕方ないので、ネギとワカメをおあずけにして、お婆さんを家まで送ることにした。
途中話を聞くと、このお婆さんは八十五歳で、身よりもなく、そして最近飼っていたネコが死んでしまい落ち込んでいるのだそうだ。
ネコの名前はポン太 だそうで、やたらと僕に「ポン太って格好いい名前でしょ」と聞いてくる。
しかし、僕は正直に「ポン太が、格好いいかどうかはわからないです」と答えると、しばらく沈黙が続き、10分後玄関前に到着。
「上がっておいき」と言われたが、
「さすがにそれは」と断った。
すると「それならば、高尾山に登ったらどう?今はとっても紅葉がきれいよ。昔は、この時期になると毎年登っていたんだけど、今は足が悪くてね。だから、代わりに登ってきてちょうだい」と言いはなった。
それならばの意味がよくわからなかったが、仕方ないので、イカ天と唐辛子をおあずけにして、高尾山へ。
山登りは結構好きで、前座の頃後輩何人かと、いくつか山を登ったことがある。
後輩はどうかわからないが、僕は楽しかった。
そんなことで、あっというまに頂上へ。たしかに紅葉が綺麗で、すがすがしい気分だ。
浮かれておみくじを引いたら「凶」がでた。なかったことにして、もう一度引いたら、また「凶」がでた。なかったことにして、もう一度引いたら、やっと「大吉」が出た。
「凶」2枚より「大吉」1枚のほうが強いと、自分に言い聞かせて下山。
帰ってきたら、お婆さんが駅をウロウロしていたので、報告したら、そっけなくミカンを2個叩きつけられた。

そして、そば屋はもう閉まっていた。




2010年11月28日日曜日

先日と昨日

先日、春馬師匠に呼んで頂き草加で仕事。
出演は、他に柳橋師匠と、前座の翔丸くん。
会場に着くと、ペロッと「パリポリくん」が出迎えてくれた。
子供のくせに、草加せんべいを愛する渋い奴だ。
一見すると、自分の顔ほどある大きなせんべいを持っているようだが、実は腕が相当長いのだそうだ。
そんな彼が僕の「悋気の独楽」を聞いたあと、出してた舌をそっとしまった。
ありがとう。
そして、昨日は遊喜師匠に呼んで頂いて国分寺で仕事。
毎月やっている「ギー寄席」という落語会だ。
会場は地下にあるライブハウスで、隅にはドラムセットが置いてある。
せっかくなんで、叩きながら演ってみたのだが、お客さんから「噺が聞きづらいから、叩かないでくれ」と言われた。そこで急遽ネタを変更し「悋気の独楽」と「表と裏」を。
ありがとうございました。

2010年11月26日金曜日

勉強

先日、前座の頃からお世話になっている東京ボーイズの仲八先生主催の「ナカハチライブ」にお邪魔させて頂いた。
今回は東京ボーイズ結成40周年ということもあり、ナイツさん、昇太師匠、なぎら健壱さん、高田文夫先生と豪華なゲストだ。
兄弟子の桃之助兄さんと、勉強というか、純粋に楽しみで行ったのだが、開演前に突然仲八先生から 、面白く場内アナウンスをして欲しいと頼まれた。
さっきまで愉快な自分はどこへ消えてしまったのか。
お腹が痛い。
ウォシュレットがない。
嫌な予感。
的中。
色々考えた結果、マイクのスイッチが入ってなかったということにした。
まあ、そんなこととは全く関係なく会の方は大盛り上り。
東京ボーイズ先生結成40周年おめでとうございます。

2010年11月24日水曜日

月と太陽

うちの部屋は、全く陽が入らない。
朝か昼か夜か、晴れか曇りか雨かが全くわからないのだ。
だから、朝起きる度に「あっ、寝過ごした」と思い、玄関のドアを開けたときに「あっ、雨だ」と気付くのだ。
これは、夜に部屋を決めてしまったからなのだが、別に気にしていない。
だって、朝か昼か夜か、晴れか曇りか雨か、
はたまた、赤か青か黄色か、赤か白かロゼか、
それとも、リンゴかアップルかアポーか、みかんかオレンジかオゥレンジか、
かといって、電子レンジかオープンかチンか、リモコンかチャンネルかそこのほらそれか、
そして、部屋かYシャツか私か、酒か涙か男か女か、
まして、ジョンかFかケネディかなんて、全く知らなくていいのだ。
暗くなったら外に出ればいい。太陽があたたかく迎えてくれる。
さあ、頑張って引っ越そう。

2010年11月22日月曜日

お詫び

先日の『ねじ回しの会』のエンディングに於きまして、私のズボンのチャックが開いていたと、お客様からのご指摘がございました。自分の高座が終わり安心しきっていたとはいえ、許されないことだと反省致しております。この件で、見に来て頂いたお客様、関係者の皆様、出演者の皆様、チャック業界の皆様、チャックを愛してやまない水沼様、閉めて欲しそうにしていた僕のチャック様、そして心の準備が出来てないのに表舞台にたった僕のパンツ様には多大なるご迷惑をおかけ致しました。謹んでお詫び申し上げます。
今後も開けていこうかと思っております。
お詫びといってはなんですが、先日酉の市の見せ物小屋でもらった、ヘビの皮の写真を添付させて頂きます。

2010年11月21日日曜日

新作ねじ回しの会




昨日は、両国亭で「新作ねじ回しの会」
前座の頃から続けている、新作落語の会だ。
実は毎回微妙にタイトルを「右ねじ回しの会」「まだねじで回すの会」などと、変えているのだが、誰も気付いてくれないので、変えていないということだ。
今回で12回目。
ネタ作りをするときは、毎回自分の人生を振り返る。そして、いかに自分がつまらない人間かを思い知らされる。
才能がないくせに、毎回違うパターンの噺を作ろうと思っている。そして、言葉だけじゃなく形で笑わせる噺を作りたい。新作の会というのは、その場だけの噺になりがちだが、ここがゴールではなく、スタートにしなければいけないと思う。
と、まあ生意気なことを言っていますが、全部言い訳です。すいません。
両国亭の客席の真ん中には、なぜか太い柱があり、その裏には相撲をとっている力士の像がある。
明らかに邪魔だ。
彼らは、いつ見てもがっぷりだ。
会が終わりぼーっと、彼らを見ていたら 、ふと「お前らが邪魔なんだよ」という声が聞こえてきた。
そうだったのか。
確かに彼らが先だ。
相撲をとっている時に、落語なんか聞かされたら、たまったもんじゃないだろう。
今まで邪魔だと言ってすいませんでした。
両国亭には、力士の血と汗と涙と油が染み込んでいるのだ。
ビバ スモウニン。

2010年11月20日土曜日

ざる



以前、後輩と行った日光で見た『見ザル、聞かザル、言わザル』
見ザル「私、あなたの悪いところ見ません」
聞かザル「私、あなたの悪い噂聞きません」
言わザル「私、あなたの悪い所も悪い噂も全部聞いてますが、絶対言いません」 こいつ、絶対我慢出来なくて言うだろうな。
さあ、明日はネジ回し新作会。言わザルは、やめて下さいね。

2010年11月19日金曜日

メキシコの空

メキシコから帰ってきてから、どうも体がだるい。
ありきたりの時差ぼけかな。
確かに日本とメキシコの時差は15時間。そして、飛行機でメキシコまで約15時間。つまり、日本を出発した時刻にメキシコに着くのだ。よくわからない。よくわからないけどそうなのだ。
だから、飛行機の中で、ハニカミながら言ったあのビーフもチキンも、心の中で何度も練習したあのコークもビアーも、全部がなかったことになるのだ。
だから、メキシコでは元気だったのだが、日本に帰ってくるときには、あのハニカミが倍ハニカミになって、僕の体にはにかんでくるのだ。
だからお休みなさい。
ビバ、タコス。

2010年11月18日木曜日

メキシコの前




そういえば、先日仕事でメキシコに行ってきたのですが、
なぜ日本で仕事がないお前が、メキシコなんかで仕事があるんだ!とか、
なぜ日本の伝統芸能を見せる為に行くのに、新作をやっているお前なんかが行くんだ!とか、
1ヶ月しか稽古していないお前の踊りのどこが伝統芸能なんだ!とか、
よりによって、なぜAの紋の入った着物を持っていったんだ!とかは、
どうか聞かないでやって下さい。テキーラ。

2010年11月17日水曜日

夕刊フジ落語会


今日は練馬で仕事。珍しく2日連続の仕事。18時練馬文化センター入り。
この時間の仕事はテンションの上げ方が難しい。昼間に何か他のことをやっていても、なんだか夜の仕事のことが気になるし、かといって何もしてないと驚くほど普通の人になってしまう。
そんなことを言っていると、夜勤の方々に乾いた雑巾でお尻を拭かれそうだが、さらにそんなことは言ってられない。
今日は、うちの師匠、喬太郎師匠、喜多八師匠が出る大きな会だ。
緊張感たっぷりの中、僕が高座を終えた後、喬太郎師匠が、僕のマクラ(僕がうちの師匠に、リュックサックを背負って自転車に乗る芸人はろくなもんにならない、と言われたこと)を受けて、リュックサックを背負って高座に上がってくれたのだ。恐縮と幸せ。ありがとうございます、すいません。
次は、馬に乗る芸人はろくなもんにならない、というマクラを振ってみようかと思います。

2010年11月16日火曜日

たましん寄席


今日は府中で仕事。朝11時半、府中駅に集合。11時半で早いなんて言ったら、サラリーマンの方々に髪の毛を引っ張り回されそうだが、やっぱり早い。
眠そうに会場入りし、楽屋のトイレに入った途端目が覚めた。愛しのウォシュレットだ。
今日の高座はうまくいきそうな気がする。
僕と彼との出会いは、以前に住んでいたプレハブアパート。どういう訳だか入居したときから取り付けられていたエリートの彼に対して、はじめ僕は馴染めずにいたが、今では肩を組んで歩くほどの親友だ。
残念ながら今のアパートにはついてないが、すっかり軟弱になった僕は、ティッシュを濡らして拭くほど甘えん坊になってしまった。
使っていていつも思うのは、奥はどこまで洗えばいいのか?ということだ。
なんてことを考えながら『たらちね』を演りました。
皆さんありがとうございました。

2010年11月14日日曜日

メキシコの夜

みなさん、メキシコから無事に帰ってまいりました。
これでいままで通りブログを続けられます。